そんな中、"刺激されて自分もキモ声ぶっかけ動画を撮ったので観てもらえますか" みたいにツイートしてきたのがFくんでした。最初、僕は、どう控えめに言っても大きめ、そして「カリ高」なFくんのペニスに劣等感を感じましたが、回を重ねるごとに彼の女性の好み ー というか、僕のそれと面白いくらいシンクロする「旬の、注目してる女の子」のラインナップに嬉しい共感を覚えて、仲良くツイートし合い、リツイートし合う仲になったのでした。



その内、僕とFくんは、同じ女の子の同じ画像を使ってシンクロキモ声ぶっかけライブ、みたいな2人でこそできる新機軸に挑戦し始め、それは僕・Fくん両者の「ファン」の総数を合わせた以上のツイッター・ユーザーからの反響を得るようになっていきました。盛り上がった気持ちの僕たちが、リアルで顔合わせして一緒に何かもっと「上」のことをやろうとどちらからともなく言い始めるのにそう時間はかかりませんでした。



初めて会った時、僕はFくんの美青年っぷりにある種のショックと引け目を感じました ー こんな、普通にモテそうな男子が、どうしてまた「キモ声ぶっかけ」なんて損にしかならないようなことをやってるんだろう?僕みたいな本当にキモくてモテない男子にどうしてここまで付き合ってくれるんだろう?ですが、最初の言わば「自己紹介セッション」めいた当たり障りのない雑談を交わしている内に、ああ、ルックスがいいというただそれだけで単純にモテるなんてことはないんだな、と合点がいきました。Fくんは自分がコミュ障なのに自覚があり、そのことを意識すればするほど、ルックスに惹かれて近づいてきた女子にガッカリされ、なんならキモがられ、噂話の的になり ー という、むしろ美形であるからこそなおさら重い生きづらさを感じているようなのでした。



その日の最初の共同セッションは、何か取り返しのつかないミスにならないように、とライブ配信ではなく動画にすることにしました。同じ「オカズ」を使って、左右に並んだ2画面で、僕とFくんどっちが先に射精できるかというネタ。どっちが長く我慢できるか、という正反対方向のネタも候補として挙がったのですが、初っ端からさすがにそれは難しい(オペレーションやルール上、そしてそれが生む面白さの観点から)だろうという合意から早出し競争となったのでした。



その回のオカズは、何年も経った今でも忘れない、Y・りさという当時売り出しが始まったばかりの新進の、しかしながらまだまだ大メディアやTVではそう見掛けない、飛びっきりの美人顔と美ボディを併せ持つ、しかもどこかしら人格的にもノーブルで清楚な印象の、一部では大人気、ながら不遇というグラドルでした。僕はその頃そのりさちゃんで1日最低3回は抜いていたのですが、話している内にFくんも僕に負けず劣らずりさちゃんに恋い焦がれていて負けず劣らず高頻度高回数で抜いているということが判明し、なおかつその熱狂度が質的にも強度的にも僕とよく似ているってところがこの記念すべきコラボ初回にぴったりだということになったのでした。
(「3」に続く)