これは僕が、ウェブ上によくいる見られたがりのオナニストから、一種の売れっ子ポルノ・スターになるまでのお話、そしてヘテロだったはずの僕がホモ・セクシュアリティ、もしくは未詳のなんたらセクシュアリティに接近することになった頃のお話です。より正確に言えば、スターになったのは「僕が」というよりは「僕と彼が」もしくは「彼が」、なんですが。



あなたももしかすると、ツイッター等で通りすがりに見かけたことがあるかもしれない「ぶっかけ動画」というジャンルがあります。アイドルやグラドルやAV女優や、あるいは女優やアスリートやアニメ・キャラ ー つまりはオナニーのオカズになるような画像なり動画なりなら何でも ー をネタにオナニーをして、その対象に精液をぶっかける姿を自撮りした動画のことです。僕は数年前から、言わばアーリー・アダプターとしてそういう動画を某サイトで売ったり、それを宣伝するためにツイッターでショート・ヴァージョンを公開したりしていました。残念なことにその頃は、たとえツイッター動画がちょっと「バズった」としても売り物の動画は数ダウンロード、月の儲けは数百円がいいとこ、って感じでした。



売り上げ・儲けが雀の涙ほどのものであっても、実のところ僕はさほど残念とも思ってませんでした。ぶっかけオナニーをすること、それを見知らぬ不特定多数(もしくは特定少数)の人々に見てもらうことは、それ自体が僕のかわいそうなオナニスト精神にどうしても必要なことだったからです。基本的に「キモヲタ」で童貞である僕、そして何がどう転ぼうと一生キモヲタであり続けるであろう僕には、かわいいアイドルや女優が、えっちなグラドルやアスリートが、美しくいやらしいAV女優が、僕のすばらしいペニスやセックスでイキまくり精液を口で膣で受けとめる、という幻想とその記録・公開が、こよなく心慰むものだったからです。



そのうち僕は、その後僕のトレード・マークとなり他の似たようなぶっかけ主との差別化となる必殺技「キモ声よがり」をひょんなきっかけから見出しました。オナニー中に、射精に向けて自分を昂らせるために、僕が頭の中で自分勝手に作り出している「彼女」との会話、というか独りよがりな呼びかけを、実際に声に出しながらしごきしごき、射精するのです。「彼女」がたとえば某国民的美少女なら ー 「あぁ、ひかるちゃん、いいよいいよこの細もも、この細ももをちらちら見せつけて僕の性欲をたぎらせてたでしょこの前の番組で?だからほら、そのせいでたっぷり溜まった僕の精子を何十ccもひかるちゃんのキツキツのおまんこに注ぎ込んであげるからね、ほらほら、出る出る出る出るぅ〜っ!」といった調子で。



何がどうウケたのか、このキモ声ぶっかけ動画シリーズは、過去の僕の動画群とは段違いのバズりっぷりを早い時点から見せ始めていました。多くの「支持」が「キモいけど面白い」「キモいからこそ面白い」というようなものだったのからも分かるように、「普通の」「まともな」人々ならとうていできない・やりたがらないようなキモい内心の吐露っぷりがウケのメインの理由だったと思います。それ以前には細々と、同好の士たちといいねいいねと褒め合ってるだけが関の山だった僕のツイッター・アカウントは、いつしか見ず知らずのFF外の人たちからの共感やリクエスト ー 「ひかるちゃんの細ももたまらんですよね俺も好きです!」「今度は〇〇◯46のXXちゃんにぶっかけてみてくれませんか?」みたいなツイートで賑わうようになっていたのでした。
(「2」に続く)