大雑把なルールはこうでした ー 主観で約10秒、1連の1文をキモ声で叫びながらしごく、そして相手の(叫びの)ターン、自分の無言時にももちろんしごいていてよし、相手の叫びターンが長すぎると感じたら自分の叫びを被せてもよし。要は、僕とFくん2人のキモ声ゼリフができるだけ被ることなく、また途切れ目なく、視聴者のみなさんにちゃんと聴き取れてオモシロが増幅していく、そういう早出し競争動画になるようにという創意工夫でした。



いざ動画を撮り始めるにあたって、僕たち2人ともに盲点だった留意点として、格好はどうするかということがありました。それまではお互い、ウェブを通しての付き合いだったので、それぞれ、少なくとも下半身 - ペニスを露出しているというのは当たり前のことでしたが、いざ隣り合って同じ空間で、ということになると少しだけ気恥ずかしい気持が思いがけなく頭をもたげ、でもせっかくの動画のクオリティのためということもあり、両者ともに全裸で、ということになりました(たまたま夏だったということもあって)。



で、いざとなるとキモヲタの僕に気後れを感じさせたのは、美青年のFくんは同じキモヲタ・オナニストでありながら痩せマッチョの結構いい身体をしており、ほんの60cmくらい隣で、オカズを前にして全裸でしゃがみこんでいると、僕には何がなし少々気まずい ー そしてなんならエロティックな気持ちさえ湧いてくるという面でした。もしかしたらFくんのほうだって似たような気持ちはあったかもしれませんが、しゃべり・振る舞いにはそういうところは見せず、あくまで動画撮影に向けて気炎万丈という様子でした。



同じDVDから同期させた各々のタブレット、そして「保護」のために被せた透明フィルム。それを前にしゃがみこんだ僕たち2人のいよいよの早出し競争撮影が始まりました。先攻はジャンケンで勝ったFくん ー 「ああっ、りさりさりさりさ!ヤバい、もう出る、もう出そう、りさのキッツキツのおまんこ、その延長線みたいなこの締まったお腹の腹直筋!たまらんたまらん、もうダメ、もう無理、あああっ、締まる締まる、ボクのおちんぽがキュウキュウに締めつけられて搾り取られそうっ!」



僕は驚愕し、感嘆し、感動しました。何という語彙力、何という目の付け所、発想力。初っ端のわずか10秒12秒で、Fくんはこれまでになかったほどのキモくも斬新な話法を披露してみせたのでした。そしてこの、リアタイで隣り合っての、そして「持ち札」を隠し持ったままその場でアドリブでセリフを披露して相手を圧倒し、以て相手の機先を制し早出し競争に勝利する ー それは僕が、そしてもしかしたらFくん自身も予測し得ていなかった驚くべきゲーム性でした。



しごきながらも内心焦っていた僕。でもその緊張感や高揚感が僕に新たな扉を開けさせてくれたのでしょう ー 「あああっ、りさ、りさ、りさのこのこんもりと丸く突き出て腋の下から形よく吊り下げられたきれいなおっぱい!このおっぱいを生で見れたら、ああっ、それだけで僕は5000回でも射精できるよ!ああああ、僕のザーメンを、生涯にわたっての全部のザーメンをりさに捧げたい!りさのお口に、りさのおまんこに全部全部捧げたい。そして僕の子供を4人でも5人でも産んで欲しいっっっ!」



自分でも驚いたことに、僕はこの時わずか23秒で射精していました。動画のタイムラインで後から確認できるので間違いありません。この時の動画を、僕とFくんはすかさず再生してデキを確認したのですが、思いがけなくそれぞれがたった1ターンずつ、リードからアウトロの挨拶まで62秒のこの動画は満場一致(といってもたった2人ですが)で「採用」と決まり、僕たちのこの「新プロジェクト」の旗揚げにふさわしい必殺の1作として、編集なしですぐにツイッターで公開することになったのでした。
(「4」に続く)